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詳細【講演・パネルディスカッション報告】相澤国弘が大崎市・鳴子で語る地域再生の未来|蔵王福祉の森構想から、鳴子・岩出山の新たな共創へ
「ないものを探すのではなく、あるものをつなぐ」――地域の人と資源を生かす持続可能なまちづくり
2026年10月8日(木)、宮城県大崎市・鳴子地域で開催された「地域資源×熱意あるプレーヤーによる共創キックオフ」において、ガイアグループ代表の相澤国弘が基調講演を行い、続くパネルディスカッションにも登壇しました。



基調講演では、約20年間にわたって宮城県蔵王町で実践してきた、福祉、空き家再生、宿泊事業、観光、移住促進を結び付ける地域づくりの歩みを紹介。


パネルディスカッションでは、観光政策、温泉旅館経営、空き家活用、アートによる商店街再生など、それぞれの立場から地域が抱える課題と可能性について意見が交わされました。
議論を通じて浮かび上がったのは、地域に人を呼ぶだけでなく、地域でお金が使われ、その利益が地域の人々へ還元される仕組みをつくることの重要性です。
1.蔵王での約20年間の実践――始まりは住民の「安心して暮らし続けたい」という願い
相澤の地域づくりは、約20年前、バブル崩壊後に衰退が進んでいた蔵王町の別荘地再生から始まりました。
1970年代に開発された別荘地では、住民の高齢化や空き家の増加、建物の老朽化などが課題となっていました。
当初、管理組織の再建を試みたものの、改革は容易ではありませんでした。
そこで相澤は、住民との直接対話を重ねました。
その中で見えてきたのが、**「この場所で安心して人生の最後まで暮らしたい」**という住民の切実な願いでした。
地域の再生とは、不動産価値を回復させることだけではありません。
そこで暮らす人々の生活を守り、将来への安心を生み出すこと。
この考え方が、ガイアグループの地域づくりの出発点となりました。
2.蔵王福祉の森構想――福祉と産業をつなぎ、誰もが役割を持てる地域へ
住民や関係者との対話から生まれたのが、約20年間にわたり継続されてきた「まちづくり研究会」です。
そこで育まれた理念は、
「母なる農村を守りつつ、誰もが安心して暮らせるまちづくり」
というものでした。
この理念を具体化したものが、**「蔵王福祉の森構想」**です。
相澤は講演で、「役割=仕事」という考え方を紹介しました。
高齢者が若い世代の相談に乗る。
障害のある方が農業に携わる。
地域住民が宿泊施設の清掃や管理を担う。
一人ひとりの経験や能力を生かし、地域の中に役割をつくることで、生きがいや収入、社会とのつながりを生み出します。
講演では、医療・福祉分野の施設整備などを通じ、約200人の雇用創出につながったことも紹介されました。
福祉と産業を別々に考えるのではなく、互いに支え合う仕組みとして育てていく。
これが蔵王福祉の森構想の大きな特徴です。
3.空き家を宿泊施設へ――ガイアリゾートが生み出した新たな地域経済
福祉施設への活用だけでは対応しきれない空き家問題に対し、新たな展開となったのが宿泊事業でした。
2018年、住宅宿泊事業法の施行を機に、空き家2棟を活用した宿泊事業を開始。
当初の予想を上回る利用があり、その後、旅館業として事業を拡大しました。
講演では、現在の蔵王エリアにおける取り組みについて、次の規模が紹介されました。
- 宿泊施設:約70件
- 年間来訪者:約8万人
- 訪日外国人旅行者の割合:約6割
使われなくなった建物が宿泊施設として新たな価値を持ち、地域住民の清掃・管理などの仕事にもつながっています。
さらに、蔵王で「暮らすように泊まる」体験をした旅行者が、別荘購入や二地域居住、移住へと関心を広げるケースも生まれています。
講演では、こうした取り組みによって別荘地の空き家率が1%未満に低下したことや、移住相談の約1割が定住につながっていることも紹介されました。



観光が不動産再生につながり、不動産再生が地域の雇用と暮らしを支える。
この循環が、ガイアリゾートの事業を通じて育まれてきました。
4.世界初の国際認証――地域全体を一つのホテルに
蔵王で実践してきた取り組みは、イタリア発祥の「アルベルゴ・ディフーゾ」という考え方と共通しています。
地域に点在する建物を宿泊施設や飲食店などとして活用し、まち全体を一つのホテルのように機能させる仕組みです。
蔵王ではさらに、宿泊事業だけでなく、福祉、農業、地域雇用などを一体的に展開してきました。
こうした取り組みが評価され、「オスピタリタ・ディフーザ(分散型のおもてなし)」の世界初の認証につながりました。
この国際的な評価は、ヨーロッパを中心とする海外旅行者への認知拡大にも寄与しています。
また、蔵王に滞在する旅行者が鳴子や松島などを訪れることで、県内の広域観光にもつながっています。




5.パネルディスカッション――「観光客が増えても地域が豊かにならない」課題
基調講演に続いて行われたパネルディスカッションでは、地域再生と観光振興の新たな仕組みづくりについて、さまざまな視点から議論が交わされました。
特に印象的だったのが、仙台空港アクセス鉄道の千葉氏による、観光政策の目標設定についての問題提起です。
千葉氏は、宮城県庁時代に観光振興や商店街再生に携わった経験を紹介しました。
かつて観光入込客数の増加を目標に掲げたものの、目標を達成しても、地域の事業者からは「忙しいだけで儲からない」という声が上がったといいます。
この経験を自身の大きな反省点として振り返り、観光政策では単に訪問者数を増やすのではなく、「観光消費額」や「宿泊者数」など、地域経済への実質的な効果を重視する必要があると説明しました。
これは、相澤が講演で紹介した「地域に人を呼び、地域でお金を使ってもらう仕組み」とも共通する視点です。
観光客が増えること自体を目的にするのではなく、地域の事業者や住民に利益が届く仕組みをつくる。
持続可能な観光振興に向けた重要な論点となりました。

6.鳴子温泉郷――120年続く旅館が守りたい湯治文化
鳴子温泉郷で約120年続く老舗旅館の経営者からは、温泉地が直面する現実と、未来への思いが語られました。
かつて多くの宿泊客でにぎわった鳴子温泉郷も、旅行スタイルの変化や湯治文化の衰退などによって、厳しい経営環境に直面しています。
過去の設備投資が経営上の負担となる一方、長い歴史の中で育まれてきた温泉文化には、今も大きな価値があります。
登壇者が大切にしているのは、**「温泉の癒しと湯治文化を次の世代へ残す」**という理念です。
その理念に共感する人々と協力しながら、時代に合った新しい温泉地のあり方を模索していく必要性が語られました。
温泉を単なる観光資源としてではなく、地域の文化や暮らしを支えてきた財産として守り育てる。
その姿勢は、蔵王で相澤が取り組んできた地域づくりとも重なります。
7.岩出山の空き家とアート――「通過するまち」から「訪れる目的のあるまち」へ
岩出山で活動する建築設計事業者からは、空き家を活用した民泊と、アートによる商店街再生の実践が紹介されました。
岩出山にUターンし、空き家問題への対応として民泊事業を始めたものの、宿泊客の多くが岩出山を目的地ではなく、別の観光地へ向かう途中の経由地として利用していることに気づいたといいます。
そこで取り組んだのが、地域そのものを訪れる目的となるコンテンツづくりです。
商店街の空き店舗などを活用し、まちの中にアート作品を展示。
来訪者が商店街を歩き、地域の店舗や人々と出会う機会を生み出すことで、エリア全体の再生を目指しています。
当初は関心の薄かった住民も、イベントを継続する中で次第に協力的になってきたことが紹介されました。
また、地域外から参加した登壇者からは、住民が自然体でイベントを楽しむ姿が印象的だったという感想も寄せられました。
地域づくりは、外から観光客を呼ぶだけではありません。
地域で暮らす人々自身が楽しみ、誇りを持てる活動であることも大切です。
8.相澤国弘が提案――地元の事業者が主役となり、利益を地域へ還元する仕組み
パネルディスカッションで相澤が強調したのは、**「既存のプレーヤーが連携すれば、新しい仕組みをつくることができる」**という考え方でした。
地域には、すでに旅館、飲食店、商店、農業者、観光施設など、多くの事業者が存在しています。
それぞれが単独で集客や経営に取り組むだけでなく、互いの強みを生かして連携する。
例えば、道の駅のような集客力のある地域資源と既存事業者を結び付け、地元の事業者が主体となって収益を得る仕組みをつくることが考えられます。
外部の専門家や事業者は、ノウハウの提供や運営支援を通じて、その仕組みづくりを支える。
重要なのは、まず地域の事業者が恩恵を受けられる形にすることです。
さらに相澤は、事業で生まれた利益を企業版ふるさと納税などの制度を活用して地域へ還元し、インフラ整備や移住者の起業支援などにつなげる考え方も紹介しました。
事業の利益を地域の未来への投資につなげる。
そして、その投資が新しい仕事や事業を生み出す。
こうした循環を育てることが、持続可能な地域づくりの一つの方向性として示されました。
9.利益を奪い合うのではなく、分かち合い、地域全体の魅力を高める
議論では、草津温泉や黒川温泉などの先行事例も紹介されました。
共通するのは、個々の事業者が顧客を囲い込むのではなく、地域全体で魅力を高めようとする姿勢です。
例えば、宿泊客が旅館の外に出て、地域の飲食店で夕食を楽しむ。
商店街を歩き、買い物をする。
温泉街の別の施設や観光スポットにも立ち寄る。
その結果、地域全体での滞在時間と観光消費が増えれば、個々の事業者にも新たな収益機会が生まれます。
点と点をつなぎ、地域全体を一つの面として育てる。
そして、利益を奪い合うのではなく、地域全体の利益を増やし、分かち合う。
こうした考え方が、鳴子・岩出山における新しい観光の仕組みづくりにも重要であることが共有されました。
10.若い世代の起業と、地域資源の新しい活用
千葉氏からは、商店街再生における「全変」の考え方も紹介されました。
時代の変化に合わせて、自らの事業や仕組みを変えていく。
商店街が衰退する背景には、人口減少や郊外型店舗の進出だけでなく、消費者のニーズの変化に十分対応できなかったという課題もあります。
そこで重要になるのが、若い世代や新しい挑戦を志す人々が、地域で事業を始められる環境です。
空き店舗や空き家を、新たな起業の場として活用する。
地域の不動産所有者と起業希望者をつなぐ。
既存の事業者が新しい事業を応援する。
こうした取り組みが連鎖することで、商店街や温泉街に新たな活力を生み出す可能性があります。
11.鳴子・岩出山の「町屋ステイ構想」に向けて
今回のイベントの背景には、鳴子・岩出山地域で検討されている「町屋ステイ構想」があります。
鳴子には豊かな温泉文化があり、岩出山には歴史ある町並みや商店街があります。
さらに、地域の食、農業、自然、文化、そして熱意を持って活動する人々がいます。
これらを個別の資源として捉えるのではなく、宿泊や体験、飲食、買い物などを通じてつなぎ合わせる。
旅行者が地域を通過するだけでなく、**「このまちに泊まりたい」「このまちを歩きたい」「この地域の人に会いたい」**と感じる滞在体験を育てていく。
今回の講演とパネルディスカッションは、そのために必要な視点を共有する機会となりました。
ただし、蔵王の仕組みをそのまま鳴子・岩出山へ移すことが目的ではありません。
それぞれの地域が持つ歴史や文化、事業者の思いを大切にしながら、地域独自の仕組みを育てることが重要です。
12.「あるものをつなぐ」――地域づくりの主役は地域の人々
今回の基調講演とパネルディスカッションを通じて、いくつかの共通した考え方が浮かび上がりました。
それは、地域の課題を一つの事業や組織だけで解決しようとするのではなく、さまざまな人々が連携して取り組むことです。
観光客数だけでなく、地域に残る経済効果を考えること。
地域の文化や歴史を守りながら、時代に合わせて事業を変えていくこと。
空き家や空き店舗を、新しい挑戦の場として活用すること。
そして、地域で生まれた利益を、次の世代や新しい事業へとつなげていくこと。
相澤が約20年間の蔵王での実践を通じて伝えてきた、
「ないものを探すのではなく、あるものをつなぐ」
という理念は、今回の議論全体にも通じるものでした。
蔵王から鳴子・岩出山へ――地域が主体となる共創の未来
ガイアグループは、「蔵王福祉の森構想」を基盤として、福祉、宿泊、不動産、農業、飲食、観光などを結び付ける地域づくりを進めてきました。
その取り組みを通じて培われた経験は、地域ごとに異なる課題や可能性を考えるうえで、一つの参考になるものと考えています。
今回の鳴子での講演とパネルディスカッションを通じ、地域資源の活用、観光消費の拡大、地域事業者の連携、若い世代の起業支援など、さまざまな可能性が語られました。
大切なのは、地域の人々が主役となり、共通の理念のもとで力を合わせることです。
地域に人を呼び、地域でお金が使われ、その利益が地域の暮らしと未来へ還元される。
ガイアグループはこれからも、蔵王での実践を積み重ねながら、地域の皆さまとともに持続可能な地域づくりを考え、行動してまいります。
開催概要
開催日: 2026年10月8日(木)
開催地域: 宮城県大崎市・鳴子地域
イベント名: 地域資源×熱意あるプレーヤーによる共創キックオフ
基調講演: 地域資源を活用した持続可能な地域づくり ― 蔵王町の事例
講師: 相澤国弘(ガイアグループ代表)
パネルディスカッション: 地域再生と観光振興の新たな仕組みづくり
主な議論のテーマ:
- 観光入込客数から観光消費額・宿泊者数を重視する政策への転換
- 鳴子温泉郷の湯治文化の継承
- 岩出山の空き家・空き店舗活用とアートによる商店街再生
- 地域事業者が主体となる連携と収益の仕組みづくり
- 若い世代の起業支援
- 企業版ふるさと納税などを活用した地域への利益還元
- 鳴子・岩出山における町屋ステイ構想の可能性
関連リンク
ガイアグループ公式サイト
ガイアリゾート公式サイト
講演開催の事前告知記事