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詳細犬とともに蔵王の里山を守る。GAIA GROUP「モンキードッグ」プロジェクト始動
今年に入り、蔵王の別荘地内で、これまでほとんど見かけることのなかったニホンザルの姿が確認されるようになりました。
野生鳥獣が人の暮らす地域へ姿を現す問題は、いまや蔵王だけの問題ではありません。
気候や自然環境の変化、人口減少、高齢化、耕作放棄地の増加、里山に人が入る機会の減少など、私たちの暮らしと自然との境界を取り巻く環境は大きく変化しています。
もちろん、個々の野生動物の出没について単一の原因を断定することはできません。しかし全国各地で、人と野生動物との距離をどのように保つのかが、改めて地域社会の課題になっています。
宮城県でもニホンザルの個体数が年々増加し、新たに被害が発生する地域があることから、県は「第五期宮城県ニホンザル管理計画」を策定し、「人とサルとの良好な関係」の再構築を目指した管理を続けています。
そんな中、ガイアグループでは新しい挑戦を始めます。
モンキードッグによる、蔵王の里山を守る取り組みです。




そして、その大切な役割を担う新しい仲間として、昨日ガイアグループに迎えられたのが、メスのイングリッシュ・ポインター「メリー」です。
写真をご覧いただくと分かる通り、大きな瞳が印象的な、とても可愛らしい女の子です。


メリーはこれまで青森県で猟犬として活躍してきました。山の中を走る体力や嗅覚、探索する能力を持つ彼女に、これからモンキードッグとして必要な訓練を重ねてもらい、将来的には蔵王の里山を守る仕事についてもらう予定です。
「モンキードッグ」とは何か
モンキードッグとは、単純に「サルを追いかける犬」ではありません。
野生のニホンザルが農地や住宅地、人の生活圏へ近づいた際、訓練された犬によってサルに適切な警戒心を持たせ、山側へ追い払う鳥獣被害対策です。

この方法を全国に先駆けて体系化した地域の一つが長野県大町市です。
大町市では2005年から育成を開始。市によると、導入地域では常時40~50頭ほど出没していたサルの群れが導入2か月後には激減し、追い払いを継続することで農作物被害も大幅に減少しました。
ただし、大切なのは犬が無秩序に野生動物を追い回すことではありません。
大町市が示しているモンキードッグの訓練には、「サルを追い払う」だけでなく、人や他の動物に危害を加えないこと、そして追い払いを終えたら必ずハンドラーのもとへ戻ることが含まれています。基礎訓練、現地訓練などを経て初めて活動できる仕組みです。
そのため、メリーもすぐに山へ放すわけではありません。
これから専門的な訓練と適性確認を重ね、人、犬、野生動物の安全を第一に、蔵王の環境に合った運用方法を検討していきます。
実は東北にもあった、モンキードッグの先行事例
今回調べていく中で、非常に興味深い先行事例が見つかりました。
それが青森県下北半島です。
むつ市では2008年8月から2頭のモンキードッグと専門職を配置。その後、下北半島の関係自治体が専門員とモンキードッグの育成を進め、2011年11月時点では5人の専門員、29人の鳥獣被害対策実施隊員、6頭のモンキードッグが活動していました。
さらに興味深いのは、その方法です。
単に集落に現れたサルをその場から追い払うだけではなく、電波発信機などによって群れの位置を把握し、ハンドラーがサルの行動を予測しながら、群れそのものを奥山へ誘導するという考え方が採用されました。
農林水産省が紹介する事例では、むつ市でモンキードッグ導入後、住宅地や耕作地へのサルの出没回数が減少し、農作物被害は導入前と比較して約9割減少したとされています。
そして宮城県にも先行事例があります。
仙台市では2000年代、サルの群れを人の生活圏から奥山へ移動させる「追い上げ」にモンキードッグが実際に投入されました。研究発表にも「サル追い犬と群れの遊動域変更」「追い上げ―サル追い犬の活用」として、その取り組みが残されています。
現在の宮城県の管理計画にも、
「地形によっては訓練された“サル追い犬(モンキードック)”を使う」
ことが追い上げ方法の一つとして明記されています。
一方、過去の宮城県の検討では、犬の育成・維持、ハンドラー、人員、費用、継続的な運用体制などが課題となり、短期間の実施だけでは十分な効果検証が難しいことも指摘されました。
だからこそ、今回のガイアグループの取り組みには意味があると私たちは考えています。
捕まえるだけではなく、「人と自然の境界」をつくる
私たちが目指しているのは、野生動物を排除することではありません。
サルにはサルの暮らす場所があります。
人には人の暮らす場所があります。
大切なのは、その境界が失われないようにすることです。
ガイアグループが蔵王で進めてきた地域づくりも、根底にある考え方は同じです。
私たちは宿泊施設だけをつくっている会社でも、不動産だけを扱う会社でもありません。
観光、宿泊、不動産、農業、食、福祉、医療、移住、そして地域コミュニティなど、さまざまな領域を一つの理念でつなぎ、社会課題をビジネスの力で解決していくソーシャルディベロッパーです。
人口減少によって人の手が入りにくくなった里山をどう守るのか。
野生動物と人間の生活圏をどう共存させるのか。
これもまた、これからの地域づくりに欠かすことのできないテーマだと考えています。
そして、蔵王には別荘地や住宅地だけでなく、国内外から多くのお客様が訪れるGAIA Resortがあります。
地域住民、別荘所有者、移住者、観光客、そして野生動物。
それぞれが安心して存在できる環境をつくることも、私たちが考える持続可能な地域づくりの一部です。
メリー、蔵王へようこそ。
昨日まで青森の山を猟犬として駆けていたメリー。
これからは蔵王の森が、新しいフィールドになります。
蔵王の山に慣らすため一緒に森へ入ってみると、水の中にも躊躇なく入り、山道を歩き、周囲の匂いや気配を確認する姿には、猟犬として培ってきた本能と能力を感じさせるものがありました。
とはいえ、まだスタートラインに立ったばかりです。
これから専門的な訓練を重ね、メリーの性格や適性を見ながら、モンキードッグとして活動できる体制を慎重に整えていきます。
人と自然が共に生きる蔵王へ。
小さな一歩かもしれません。
しかし人口減少時代の里山を守るためには、行政だけでも、地域住民だけでも、企業だけでも解決できない問題が増えていきます。
だからこそ、できることから一つずつ。
そして今回、その新しい仲間に「犬」という存在が加わりました。
猟犬から、里山を守る犬へ。
メリーの第二の犬生が、蔵王で始まります。
これからの訓練や成長、そしてモンキードッグとしての活動についても、ガイアグループ公式ブログで皆さまにお伝えしてまいります。
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