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詳細【講演報告】地域の眠れる資源を、地域の未来へ――ガイアグループ代表・相澤国弘が鳴子温泉で語った「持続可能な地域づくり戦略」
「ないものを探すのではなく、あるものをつなぐ」――蔵王での実践から考える、地域再生の新たな可能性





2025年10月8日、宮城県大崎市の鳴子公民館で、ガイアグループ代表・相澤国弘による講演会が開催されました。
講演のテーマは、「地域の眠れる資源を地域の未来へ」。相澤は、約20年にわたって蔵王地域で進めてきた別荘地の再生、福祉を中心とした地域づくり、空き別荘を活用した観光事業、そして地域全体を一つの宿泊施設として捉える「アルベルゴ・ディフーゾ」の実践について紹介しました。
講演の根底にあるのは、**「ないものを探すのではなく、あるものをつないでいく」**という考え方です。
人口減少や高齢化、空き家の増加など、地域が直面する課題を新たな可能性へと転換するために何が必要なのか。蔵王で積み重ねてきた経験をもとに、鳴子温泉が持つ地域資源と、これからの地域づくりの可能性について語りました。
■ 衰退する別荘地との出会いが、地域づくりの原点に
相澤が蔵王山水苑の再生に関わり始めたのは、約20年前のことです。
当時の別荘地では、建物の老朽化や所有者の高齢化、空き別荘の増加などが進み、地域の将来を不安視する声がありました。
もともと不動産開発を専門としていた相澤にとって、観光や福祉は当初から専門分野だったわけではありません。
しかし、別荘地の再生に取り組む中で、建物を売買するだけでは地域の問題は解決できないことを実感します。
そこで始めたのが、地域住民との対話でした。
住民とともに課題を共有し、将来の地域の姿を考える「まちづくり研究会」を立ち上げ、継続的に話し合いを重ねてきました。
地域の再生は、一人の事業者が計画を立てるだけでは実現できません。
そこに暮らす人々が自分たちの地域の未来を考え、主体的に関わることが不可欠です。
この経験が、現在のガイアグループの地域づくりの基盤となっています。
■ 「蔵王福祉の森構想」――誰もが安心して暮らし、役割を持てる地域へ
蔵王での取り組みを進める中で生まれたのが、「蔵王福祉の森構想」です。
この構想では、次の二つの理念を掲げています。
「母なる農村を守りながら、高齢者も若者も障害のある者もない者も、誰しもが安心して暮らせるまちづくりを目指します」
「役割を果たすことが生きる力の源と捉え、誰しもが生活の中でその人にふさわしい役割を果たせるまちづくりを目指します」
大切にしているのは、福祉を特定の人のためだけの仕組みとして捉えるのではなく、地域社会全体を支える基盤として位置づけることです。
蔵王では、使われなくなった別荘や既存施設を活用し、介護・福祉・医療などの機能を地域の中に整備してきました。
さらに、地域に新たな雇用が生まれることで、働く人々の住まいや生活を支える需要も生まれます。
かつて空き家の増加が課題となっていた別荘地に、暮らしと仕事の循環が生まれていったのです。
相澤が講演で強調したのは、誰もが地域の中で役割を持つことの大切さでした。
支える人と支えられる人を固定的に分けるのではなく、それぞれが持つ能力や経験を生かして地域社会に参加する。
その積み重ねが、人々の生きがいと地域の持続可能性につながると考えています。
■ 空き別荘を観光資源に変える――ガイアリゾートの誕生
福祉を通じた地域再生に続き、新たな可能性として取り組んだのが、空き別荘を活用した宿泊事業です。
2018年に住宅宿泊事業法が施行されたことを契機に、ガイアグループは2棟の施設から宿泊事業を開始しました。
その後、宿泊需要の広がりに対応しながら、旅館業の許可を活用した施設運営などへと展開していきました。
こうして発展してきたのが、ガイアリゾートの宿泊事業です。
ガイアリゾートが提案するのは、**「暮らすように泊まる」**という滞在スタイルです。
一般的なホテルや旅館のように、一つの建物の中で宿泊・食事・娯楽を完結させるのではなく、地域に点在する施設や店舗、自然、文化などを楽しみながら滞在する。
旅行者は宿泊施設に泊まるだけでなく、地域の飲食店で食事をし、商店で買い物をし、農業体験や自然体験を通じて地域の人々と交流します。
宿泊施設そのものが目的地となるだけではなく、地域全体が旅の舞台となるのです。
空き別荘という既存資源を再活用することで、新たな建設に依存せず、地域に人の流れと経済活動を生み出す。
この取り組みは、別荘地の再生と観光振興を結びつける新しい地域づくりの形となりました。
■ まち全体を一つの宿泊施設に――アルベルゴ・ディフーゾの実践
ガイアリゾートの取り組みと深く関わるのが、イタリア発祥の「アルベルゴ・ディフーゾ」という考え方です。
アルベルゴ・ディフーゾは、地域に点在する建物や施設を活用し、まち全体を一つの宿泊施設のように機能させる分散型の宿泊モデルです。
宿泊する場所、食事を楽しむ場所、買い物をする場所、体験をする場所が地域の中に分かれていることで、旅行者は自然と地域を歩き、人々の暮らしに触れることになります。
この考え方は、ガイアグループが蔵王で実践してきた地域づくりとも重なります。
さらに講演では、観光だけでなく、福祉や農業、地域住民の活動を結びつける「ホスピタリタ・ディフーザ」の考え方と、蔵王における国際的な認証への取り組みについても紹介しました。
重要なのは、宿泊施設の数を増やすことだけではありません。
地域の中にすでに存在するさまざまな資源をつなぎ、一つの地域として来訪者を迎えることです。
宿泊事業が地域から独立して成長するのではなく、地域の店舗や事業者、住民とともに発展していく。
その仕組みこそが、ガイアグループの目指す観光の姿です。
■ 観光と福祉の融合が生み出す、地域経済の新しい循環
ガイアグループの取り組みを特徴づけるのが、観光と福祉を一体的に考える視点です。
宿泊施設の清掃や管理、農業、飲食、地域でのさまざまなサービスには、多様な仕事と役割があります。
そこに高齢者や障がいのある方々、地域住民が、それぞれの能力や状況に応じて参加することで、新たな雇用や社会参加の機会が生まれます。
観光客の増加は、地域の飲食店や商店の利用につながり、地域経済を支える力にもなります。
そして、地域の中に仕事が生まれることで、若い世代の就業や定住にもつながる可能性があります。
観光が仕事を生み、仕事が暮らしを支え、暮らしが地域の魅力を育てる。
相澤は、こうした循環をつくることが、人口減少時代における地域づくりの重要な方向性であると語りました。
■ 観光から二地域居住、移住へ――地域との関係を育てる
講演では、観光と移住・定住の関係についても触れられました。
最初は観光客として地域を訪れた人が、繰り返し滞在するうちに、その土地の自然や文化、人々の暮らしに魅力を感じるようになる。
そして、別荘の購入や二地域居住を検討し、やがて移住へと進む場合もあります。
観光は、一時的な交流人口を増やすだけのものではありません。
地域と継続的に関わる人々を増やし、将来の定住人口につながる可能性を持っています。
相澤は、宿泊事業を地域との新しい関係を生み出す入口として捉えています。
地域を訪れる人が、やがて地域を支える人になる。
こうした長期的な関係づくりも、持続可能な地域づくりの大切な要素です。
■ 鳴子温泉の未来へ――地域にあるものをつなぐ
今回の講演の舞台となった鳴子温泉地域は、豊富な温泉資源、美しい自然、歴史ある温泉街、地域に根差した文化や産業など、多彩な魅力を持つ地域です。
一方で、人口減少や高齢化、空き店舗・空き家の活用など、地方の観光地が共通して抱える課題にも向き合っています。
相澤が講演で伝えたのは、蔵王で実践してきた仕組みを、そのまま鳴子温泉に持ち込むべきだということではありません。
地域にはそれぞれ固有の歴史や文化があり、暮らす人々の思いや価値観も異なります。
だからこそ、まずは地域の人々との対話を重ね、その地域にすでに存在する資源を見つめ直すことが重要です。
温泉、宿泊施設、商店、空き家、農業、福祉、自然、歴史、文化。
それぞれを個別の資源として捉えるのではなく、相互につなぐことで、新たな地域の魅力と価値を生み出すことができます。
相澤は、鳴子温泉の地域づくりにおいても、主役はあくまで地域の人々であり、ガイアグループはその可能性を広げるための協力者でありたいという思いを語りました。
■ 一人のヒーローではなく、誰もが地域の担い手に
講演の終盤、相澤は、地域づくりを一人の特別なリーダーに頼ることの限界について語りました。
地域の課題は複雑であり、一人の力だけで解決できるものではありません。
大切なのは、地域の人々が共通の未来像を持ち、それぞれの得意分野や経験を生かして役割を担うことです。
行政、企業、福祉関係者、農業者、商店、住民、そして地域を訪れる人々。
それぞれが立場を超えてつながることで、地域はより大きな力を発揮することができます。
誰か一人が地域を救うのではなく、地域に関わる一人ひとりが未来をつくる。
その考え方は、蔵王福祉の森構想の理念にも通じています。
■ 地域の眠れる資源を、次の世代へ
ガイアグループは、これまで蔵王地域で、不動産、福祉、観光、農業、飲食など、多様な分野を結びつけながら地域づくりを進めてきました。
その歩みは、最初から完成された計画があったわけではありません。
地域の課題に向き合い、住民との対話を重ね、一つひとつの取り組みを積み重ねることで、新たな可能性が広がってきました。
空き別荘を、暮らしや交流の拠点へ。
観光を、地域全体の経済を支える仕組みへ。
福祉を、誰もが役割を持って生きる地域社会の基盤へ。
そして、地域に眠る資源を、次の世代へと受け継ぐ未来の力へ。
「ないものを探すのではなく、あるものをつないでいきましょう」
この言葉には、相澤が蔵王での実践を通じて培ってきた地域づくりへの思いが込められています。
ガイアグループは、これからも地域の皆さまとともに、それぞれの地域が持つ魅力と可能性を生かし、誰もが安心して暮らし、役割を持ち、未来に希望を持てる持続可能な地域づくりに取り組んでまいります。
開催日: 2025年10月8日
会場: 大崎市鳴子公民館
講演者: 相澤国弘(ガイアグループ代表)
講演テーマ: 地域の眠れる資源を地域の未来へ/持続可能な地域づくり戦略
講演地域: 宮城県大崎市・鳴子温泉地域
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