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詳細「ガイアの森」の目覚め
ガイアの森の目覚め
〜シラネアオイとクマガイソウ、千年の対話〜
静かな雨の中、再び「ガイアの森」を訪れました。森はしっとりと潤い、風にそよぐ葉の中で深呼吸をしました。色づき始めた緑は、すでに新緑から“真緑”へと移り変わり、季節の移ろいの早さを伝えていました。
私たちが「エント」と呼ぶガイアの森の守り神に挨拶をしました。
大地を鷲掴みにするような根を持ち、悠久の時を見守る存在――
神話に登場する“歩く木の民”エント。
この森の主もまた、その静かな佇まいの中で、森の命の営みを見守り続けています。
そんなエントの足下で、ひときわ神々しい姿を見せていたのが――
クマガイソウ、そしてシラネアオイでした。
シラネアオイは、花の期間を終え、花びらを散らして、次の命を紡ぐ準備をしていました。
そのひとつひとつの生命の営みが森の空気を清めるように。
東北の山中でしか見られないこの花が咲くということは、
この森が、いかに原生的で豊かな自然に守られているかの証でもあります。
そして、さらにその傍らでひっそりと咲いていたのが、クマガイソウ。
袋状の花を持ち、希少な山野草として知られるこの植物は、
まるで森の妖精が姿を変えて宿ったような、不思議な気配を放っていました。
まるで守り神の足下で、植物たちが静かに語り合っているようにもみえます。
また、樹幹流と呼ばれる不思議な自然現象にも出会いました。
樹幹流は雨水が木の幹を流れ下る際、樹皮に付着する微生物や有機物と反応し、
泡となって現れるものです。
まさに、森が“生きている”証。
樹もまた、静かに呼吸をし、森というひとつの生命体の一部として機能しているのです。
この森には、物語があります。
千年の樹と、静かに語らう草花たち。
私たちは、その語り部となり、
この「ガイアの森」を未来へと紡いでいきます。
エントが見守るこの森に息づく命たちの声に、
耳をすませながら、また次の季節を迎える準備を整えたいと思います。
今後も、森の観察記録と物語を定期的にお届けしてまいります。