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2025.05.10

地域資源を活かした持続可能な観光:ガイアリゾートの取り組み

相澤国弘(株式会社ガイア 代表取締役社長)

 

近年、日本の観光業界は訪日外国人観光客(インバウンド)の急増に大きな変化を遂げています。特に2015年以降、中国人観光客へのビザ発給要件の緩和を契機に、インバウンド市場は急成長し、観光収支も黒字化しました。日本は「観光立国」を目指し、地域の魅力を世界に発信していますが、その中で問われているのは「観光地としての持続可能性」です。

 

 

 

 

ガイアリゾートが目指す持続可能な観光

 

 

私たち株式会社ガイアは蔵王エリアを中心に「ガイアリゾート」というブランドを掲げ、地域資源を活かした持続可能な観光を推進しています。その中核にあるのが「アルベルゴ・ディフーゾ(Albergo Diffuso)」という宿泊モデルです。

 

 

アルベルゴ・ディフーゾとは?

 

 

アルベルゴ・ディフーゾは、イタリアで生まれた分散型ホテルのモデルで、地域に点在する空き家や別荘を宿泊施設として再生し、宿泊客が地域全体で「暮らすように泊まる」ことを目指します。従来のホテルのように一箇所に宿泊施設を集約せず、地域の生活や文化に溶け込んだ宿泊体験を提供できる点が特徴です。

 

ガイアリゾートは、このアルベルゴ・ディフーゾのモデルを世界最大規模で実現しています。蔵王山水苑や京急エコーランドをはじめ、地域全体を一つの宿泊施設と見立て、空き別荘や古民家を再生し、観光資源として再活用しています。

 

🔗 ガイアリゾート公式サイト - アルベルゴ・ディフーゾ

🔗 ガイアリゾート宿泊施設一覧(STAY JAPAN)

 

 

 

 

蔵王福祉の森構想との連携

 

 

ガイアリゾートの取り組みは、観光だけでなく「福祉」とも連携しています。私たちは「蔵王福祉の森構想」のもと、高齢者や障がい者、難病の親子を対象としたリトリート型福祉拠点の整備を進めています。この取り組みでは、福祉作業所との農業連携、地域通貨の活用を通じて、誰一人取り残さない地域づくりを実現しています。

 

地域で採れた新鮮な野菜は、ガイアリゾートの宿泊施設や飲食店で提供され、地域循環型の観光が実現されています。さらに、訪日外国人観光客にも日本の「ふるさと」を体感してもらうことができ、国内外の観光客が地域の魅力に触れる機会を提供しています。

 

🔗 蔵王福祉の森構想公式サイト

 

 

 

 

インバウンド観光の急増とその影響

 

 

RIETI(経済産業研究所)の小西葉子氏による分析によると、2015年に中国人観光客へのビザ発給要件が緩和されたことを契機に、訪日外国人観光客数が急増し、観光市場が大きく変化しました。特に外国人旅行者の宿泊先の選好は大きく変動し、従来の観光地だけでなく地方部への関心が高まっています。

 

このような変化は、私たちが進める「ガイアリゾート」の取り組みと共鳴しています。地方資源を活かし、地域全体を観光地とする分散型ホテルのモデルは、今後の観光産業の持続可能な成長において重要な役割を果たすと確信しています。

 

🔗 RIETIコラム「増えまくる《訪日観光客》をデータで分析する」

 

 

 

 

持続可能な観光は地域の未来を拓く

 

 

アルベルゴ・ディフーゾという分散型ホテルのモデルは、単に宿泊施設を提供するだけでなく、地域全体を宿泊地として再生し、地域の歴史や文化、自然環境を守りながら観光を推進するものです。

 

ガイアリゾートは、観光と福祉を融合させた独自のモデルを実践し、地域社会とともに成長を続けています。持続可能な観光は、地域に新たな価値をもたらし、訪れる人々に「もう一度来たい」と思わせる魅力を生み出します。

 

私たちは、地域住民と観光客が共に支え合い、持続可能な地域社会を築くために、これからも挑戦を続けていきます。

 

 

 

参考リンク